Marantz SM−9. 2台目修理記録
2017/1/18到着  7/29完成
A. 修理前の状況
  • 貴殿のHPを10年以上前から拝見している者です。
    最近、少年時代からの憧れであったマランツSC9とSM9を入手しました。
    SC9の方はOH品を大事に使っている方からの購入でしたんので問題なかったのですが、
    オークションで入手したSM9は当初、好調でしたが数週間後に突然音が出なくなりました。
    (電源は入りますが、熱を持ちません)。


B. 症状、原因
  • この時代の製品は、プロテクトが完全では、ありません。
    修理が完全でないと、終段TR(トランジスター)が死ぬ様な大事故になります。
    終段TR(トランジスター)が死ぬ様な大事故の場合は、生きて居る前段TR(トランジスター)の交換も、後々のため交換が必要です。


C. 修理状況

K. 裏パネル加工・塗装

D. 使用部品
  • 終段TR(トランジスター)          8個(hfeを揃えた選別品)。
    前段TR(トランジスター)         22個。
    初段FET                   2個。
    SP接続リレー                1個。
    電解コンデンサー             19個。
    メタライズド・フイルムコンデンサー     4個。
    抵抗                    6個。
    テフロン絶縁型RCA端子         1組2個。
    3Pインレット FURUTECH FI-10(R) ロジウムメッキ 1個。
    フューズホルダー              4個。


E. 調整・測定

G. 修理費  141,500円       オ−バ−ホ−ル修理

Y. ユーザー宅の設置状況

S. Marantz SM−9 の仕様(マニアルより)


A. 修理前の状況。画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
A11. 点検中 前から見る
A12. 点検中 前右から見る
A13. 点検中 後から見る
A14. 点検中 後左から見る
A15. 点検中 上から見る
A21. 点検中 下前から見る
A22. 点検中 下前左から見る
A23. 点検中 下後から見る
A24. 点検中 下後右から見る
A25. 点検中 下から見る
A31. 点検中 電源ブロック電解コンデンサー見る。 頭のビニールは膨らんでいない。
A32. 点検中 電源ブロック電解コンデンサーを下から見る。 右3本に液漏れらしき跡が見られる。
A41. 点検中 電源コード取り付け。
A42. 点検中 電源コード取り付け。 3Pインレットに交換可能。
A51. 点検中 入力RCA端子。
A52. 点検中 入力RCA端子。 日本製削り出し電極製に交換可能。
A61. 点検中 R側終段TR(トランジスター)。 短絡し、全滅です。
A71. 点検中 L側終段TR(トランジスター)の測定。
  • 上2SC2589測定、ICEO=50mAで測定。Hfe=38
    下2SC2589−2測定、ICEO=50mAで測定。Hfe=29
    上2SA1109測定、ICEO=50mAで測定。Hfe=92
    下2SA1109測定、ICEO=50mAで測定。Hfe=104      
A72. 点検中 L側終段TR(トランジスター)2SC2589測定、ICEO=50mAで測定。Hfe=38
A73. 点検中 L側終段TR(トランジスター)2SC2589−2測定、ICEO=50mAで測定。Hfe=29
A74. 点検中 L側終段TR(トランジスター)2SA1109測定、ICEO=50mAで測定。Hfe=92
A75. 点検中 L側終段TR(トランジスター)2SA1109測定、ICEO=50mAで測定。Hfe=104
A81. 点検中 交換する終段TR(トランジスター)の選別中。
A82. 点検中 選別し、選んだ交換する終段TR(トランジスター)。
C. 修理状況。画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
C11. 修理前 R側終段ブロック。 短絡し、全滅です。
C12. 修理後 R側終段ブロック。 TR(トランジスター)4個交換。
C13. 修理前 R側終段ブロック裏
C14. 修理中 R側終段ブロック裏、TR(トランジスター)取り付け基板。
C15. (半田補正)後 R側終段ブロック裏、TR(トランジスター)取り付け基板。全ての半田をやり修す。
C16. 完成R側終段ブロック裏、TR(トランジスター)取り付け基板。 余分なフラックスを落として、コート液を塗る。
C17. 修理後 R側終段ブロック裏
C18. 修理前 R側終段放熱器裏。
C19. 修理後 R側終段放熱器裏。
C21. 修理前 R側終段基板
C212. 修理中 R側終段基板。 焼損して割れた前段TR(トランジスター)。
C213. 修理中 R側終段基板。 焼損して割れた前段TR(トランジスター)2。
C214. 修理中 R側終段基板。 焼損した抵抗。
C22. 修理後 R側終段基板  FET(電解トランジスター)1個、TR(トランジスター)11個、電解コンンサー5個、半固定VR2個、抵抗3個交換
C23. 修理前 R側終段基板裏
C24. 修理(半田補正)後 R側終段基板裏 全半田やり直す
C25. 完成 R側終段基板裏。 不要なフラックスを取り、コート液を塗布。
C31. 修理前 L側終段ブロック。 TR(トランジスター)4個交換。
C32. 修理後 L側終段ブロック
C33. 修理前 L側終段ブロック裏
C34. 修理中 L側終段ブロック裏、TR(トランジスター)取り付け基板。
C35. (半田補正)後 L側終段ブロック裏、TR(トランジスター)取り付け基板。全ての半田をやり修す。
C36. 完成L側終段ブロック裏、TR(トランジスター)取り付け基板。 余分なフラックスを落として、コート液を塗る。
C37. 修理後 L側終段ブロック裏
C38. 修理前 L側終段放熱器裏。
C39. 修理後 L側終段放熱器裏。
C41. 修理前 L側終段基板
C42. 修理後 L側終段基板 FET(電解トランジスター)1個、TR(トランジスター)11個、電解コンンサー5個、半固定VR2個、抵抗3個交換
C43. 修理前 L側終段基板裏
C432. 修理前 L側終段基板裏。終段TR(トランジスター)が短絡したので、短絡電流で焼き切れた銅箔。
C44. 修理(半田補正)後 L側終段基板裏 全半田やり直す
C45. 完成 L側終段基板裏。 不要なフラックスを取り、コート液を塗布。
C51. 修理前 定電圧・プロテクト基板
C512. 修理中 定電圧・プロテクト基板。電解コンデンサー固定用の接着材、当時は溶媒にトルエンが使用されており、銅を腐食する。
C513. 修理前 定電圧・プロテクト基板。 電解コンデンサー固定用の接着材を取り除いて、防湿材を塗る。
C52. 修理後 定電圧・プロテクト基板。 SP接続リレー、電解コンンサー9個、半固定VR2個交換。
C53. 修理前 定電圧・プロテクト基板裏
C54. 修理(半田補正)後 定電圧・プロテクト基板裏 全半田やり直す。後付抵抗は表へ移動。
C55. 完成定電圧・プロテクト基板裏。 不要なフラックスを取り、コート液を塗布。
C60. 修理中 後パネルを取り修理中 
C61. 修理前 電源コード取り付け。
C62. 修理(加工)中 電源ケーブル挿入部、3Pインレット取り付け穴を開ける、ハンドツールなので時間がかかる。
C63. 修理(加工)中 電源ケーブル挿入部、3Pインレット取り付け穴を開け、軽く塗装後。
C64. 修理後 3Pインレット取り付け。  FURUTECH FI-10(R) ロジウムメッキ使用。
C65. 修理後 3Pインレット取り付け。 アースも取り付ける。 
C71. 修理前 入力RCA端子。
C72. 修理(交換)後 入力RCA端子。 日本製削り出し電極製に交換。
C81. 修理前 電源ブロック電解コンデンサーを下から見る。
C82. 修理(交換)後 電源の電源ブロック電解コンデンサー。フイルムコンデンサー4個、フューズ4個追加。
  • この時代のメインアンプは終段TR(トランジスター)の保護が不十分です。
    電源AC100V入力にフューズがありますが、10Aと大きいです。
    終段TR(トランジスター)への供給電圧は60Vで、最大コレクター電流は10Aです。
    今、片側(+側)のTR(トランジスター)が短絡した場合60V×10A=600VAですが、
    電源AC100V×10A=10000VAなので保護出来ません。
    片側(+側)のTR(トランジスター)が短絡した場合、反対側(−側)もほぼ同時に焼損します。
  • 終段TR(トランジスター)を保護の為、RLの+−供給回路に、フューズを4本挿入します。
C91. 修理前 R側前段部電源ブロック電解コンデンサー。
C92. 修理後 R側前段部電源ブロック電解コンデンサー。フイルムコンデンサー2個追加。
C93. 修理前 L側前段部電源ブロック電解コンデンサー。
C94. 修理前 L側前段部電源ブロック電解コンデンサー。フイルムコンデンサー2個追加。
CA1. 前面パネルを外し修理中
CB1. 前面パネル清掃中
CC1. 交換部品
CC2. 交換部品、SP接続リレー。左=交換した物 15A/250V、右=付いていた物 7A/250V。
CD1. 修理前 上から見る 
CD2. 修理後 上から見る
CD3. 修理前 下から見る
CD4. 修理後 下から見る
K. 裏パネル加工・塗装。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
K11. 修理前 後パネル。
K12. 修理(塗装)後 後パネル。
E. 調整・測定。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
E0. 出力・歪み率測定・調整。
    「見方」。
   上段中 右側SP出力を「Audio Analyzer Panasonic VP−7723B」により測定。
         表示LED、 左端=メモリーNo、 中左=周波数測定、 中右=出力電圧測定、 右端=歪み率測定。
   上段右端 VP−7723Bの基本波除去出力を「owon SDS8202(200MHZ)」で「FFT分析」表示。
   下段中 左側SP出力を「Audio Analyzer Panasonic VP−7723B」により測定。
         表示LED、 左端=メモリーNo、 中左=周波数測定、 中右=出力電圧測定、 右端=歪み率測定。
   下段右端 VP−7723Bの基本波除去出力を「owon SDS6062(200MHZ)」で「FFT分析」表示。
   下段左端 オーディオ発振器 VP−7201A より50Hz〜100kHzの信号を出し(歪み率=約0.003%)、ATT+分配器を通し、AMPに入力。
          よって、ダイアル設定出力レベルより低くなります。測定機器の仕様や整備の様子はこちら、「VP−7723B」「VP−7201A」。 FFT画面の見方はこちら。
E1. 50Hz入力、R側SP出力電圧35V=153W出力、 0.0196%歪み。
               L側SP出力電圧35V=153W出力、 0.0203%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E2. 100Hz入力、R側SP出力電圧35V=153W出力、 0.0132%歪み。
                L側SP出力電圧35V=153W出力、 0.0140%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E3. 500Hz入力、R側SP出力電圧35V=153W出力、 0.0119歪み。
                L側SP出力電圧35V=153W出力、 0.0126%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E4. 1kHz入力、R側SP出力電圧35V=153W出力、 0.0137%歪み。
               L側SP出力電圧35V=153W出力、 0.0142%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E5. 5kHz入力、R側SP出力電圧35V=153W出力、 0.0142%歪み。
              L側SP出力電圧35V=153W出力、 0.0147%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E6. 10kHz入力、R側SP出力電圧35V=153W出力、 0.0128%歪み。
                L側SP出力電圧35V=153W出力、 0.0138%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E7. 20kHz入力、R側SP出力電圧35V=153W出力、 0.0155%歪み。
                L側SP出力電圧35V=153W出力、 0.0158%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=125kHz、右=500kHz。
E8. 1kHz入力、R側SP出力電圧20V=50W出力、 0.00871%歪み。
               L側SP出力電圧20V=50W出力、 0.00960%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E9. フルパワーなので、24V高速フアンが全回転でクーリング。
EA. 0dB=VUメータ測定・調整、1Khz 150W出力。
EB. 完成  24時間エージング、 左はYAMAHA B−1. 15台目
Y. ユーザー宅の設置状況。画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
Y1. 設置状況.
S. Marantz SM−9 の仕様(カタログ・マニアルより)
型式 ステレオパワーアンプ
定格出力(20Hz〜20kHz、両ch同時動作) 150W+150W(8Ω)
全高調波歪率(20Hz〜20kHz、定格出力時) 0.01%以下
混変調歪率 0.01%以下
周波数特性 DC〜100kHz +0 -1dB
入力感度/インピーダンス 1.5V/30kΩ
ダンピングファクター 100以上(1kHz、8Ω)
SN比(IHF-A) 120dB
定格消費電力(電気用品取締法) 400W
外形寸法 幅474×高さ172×奥行345mm
重量 23.5kg
価格 225,000円(1982年頃)
             sm-9_22m
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